林神社のまんじゅう祭り|女子的奈良歩き 9 - 奈良のライフスタイルを提案するWEB MAGAZINE TRILLINM [ トリリウム ]

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毎年4月19日にもよおされる〈饅頭まつり〉 境内の外にならぶ菓子の出店。奉納された紅白饅頭。午後からはお饅頭といっしょにお抹茶もふるまわれる。引出物の紅白饅頭。先着順に引換券が配られる。欲しい方はお早めに。

女子的奈良歩き9/まんじゅうとわたし

林神社のまんじゅう祭り

photo & text suzume


4月19日のまんじゅう祭り。名前を聞いただけで心ひかれる。
奈良に住むようになってちらほらと耳にしていた〈まんじゅう祭り〉。
どんなお祭りなのだろうと長らく気になっていたお祭りに、
とうとう訪れることが出来た。

まんじゅう祭りは奈良市の林(りん)神社で毎年4月19日に
催される例大祭だ。林神社にまつられるのは林浄因(りんじょういん)。
日本で初めてまんじゅうを売り出したとされる人物である。

歴史をひもとくと「こんなものまで奈良が発祥だったのか!」
と驚くことが多い中で、まんじゅうもそのひとつ。
とはいえ、奈良がまんじゅう発祥の地と言うと、
奈良時代に作られたのかと思われがちで
あるけれどそうではなく、時代はぐっと下って室町時代。
中国から来日し奈良に居を構えた林浄因という仏僧が中国のマントウをヒントに
作りだしたのがまんじゅうの発祥だと言われている。
林浄因が作ったのは餡まんじゅう。
肉や脂の入ったものは仏前に供えることができないため
小豆を甘く煮ととのえた餡を小麦粉の皮で包んで蒸し上げた餡まんじゅうを考案した。
これが室町の人々に大変な人気を呼ぶ。
ホワホワと柔らかい皮と、小豆餡のほのかな甘さが、
寺院につどう上流階級の人々に大評判となり、
時の将軍、ひいては帝にまで献上された。
帝もいたくまんじゅうを気に入って、なんと浄因は官女まで賜ったのだという。
その当時、天皇から宮女を賜ることは、大変な名誉だったのだそうだ。
しかもその林家がいまも続いているというのだから凄い。
こもごもの経緯を経て、連綿と続いてきた林家の子孫が、東京の塩瀬総本家なのだ。
日本のまんじゅうの発祥から代々つづく老舗中の老舗、
江戸時代には将軍家御用達、明治からは宮内庁御用達の関東の名店が、
ルーツは奈良にあったのだと思うと、感慨深いものがある。













林神社は、近鉄奈良駅から徒歩五分ほど、漢國(かんごう)神社の境内の一角にある。
漢國神社は裏手に開化天皇陵のうっそうとした木々がひかえ、町中であるけれど、
ふだんはひっそり静かだ。林神社はその境内に鎮座する小さな社で、
そうと知らなければ簡単に見過ごしてしまう。そんなふだんの様子から、
こじんまりとしたお祭りを予想していたのだけど、あてがはずれた。
境内にはところせましと来賓用の席が並べられ、たくさんお銘菓が奉納。
大勢の賓客がいそがしそうに行き交い活気あふれる。
観客も多すぎず、寂しすぎず、終始なごやかなムードに包まれていた。

例大祭は11時からはじまり、一時間ほどで終了。
神事の終了後は先着順の引換券と交換に、紅白まんじゅうも配布された。
ありがたくいただいたおまんじゅうはじょうよまんじゅうで、とてもおいしい。
いまに比べれば、当時のおまんじゅうはずっと素朴だったはずだ。
けれど、甘味といえば柿や栗を干したもの、お汁粉の元祖のようなものしか
知らなかった人々にとっては、とんでもなく美味しかっただろうと思う。
いただいたおまんじゅうを口にしながらしばし思いを馳せる。



林神社(りんじんじゃ)

630-8242
奈良市漢國町 感國神社(かんごうじんじゃ)境内
近鉄奈良駅から徒歩5分/JR奈良駅から徒歩15分
TEL:0742-22-0612

饅頭祭:毎年4月19日 11:00~


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