TRILLINM|奈良に暮らす、WEB MAGAZINE「トリリウム」|女子的奈良歩き10「まきこさん、ぱんを焼く」

女子的奈良歩き 毎月1日&15日更新

テーブルいっぱいに並ぶたくさんの米粉のパン。まんまるぱんとおとうふぱん。どのぱんもふっくら、もっちり。材料を仕入れている羽間農園さんとのコラボ、おむすびぱん。季節によって変わるラインナップ。〈かりかり柚子スティック〉は冬のオススメ。店内のイートインスペース。紅茶やコーヒーといっしょに。

まきこさん、ぱんを焼く

「米粉のパンとお菓子 睦実」



大和郡山、市街地を抜け、矢田丘陵のはじまるすそ野に

米粉のパンとお菓子のお店、睦実さんはある。

お店に入るとズラリと並んだパンとお菓子は、

すべて店主のまきこさんがひとりでこしらえたもの。

まきこさんのつくるパンはとてもおいしい。

米粉のパンは、もっちり、むっちり。

はらもちもよく、おやつにもぴったりだ。


睦実の米粉は、奈良県産の減農薬のお米をひいたもの。


パンやお菓子の材料の野菜も、可能な限り奈良県産の無農薬野菜を使っている。

自分の暮らす土と水でとれたものは、どこか遠くでとれたものより、

こころとからだにしっくりあう。まきこさんがそう考えた結果だ。


捨てられているお米がある――まきこさんがそんなショッキングな事実を知ったのは、

とある農業体験のイベントに参加したのがきっかけだった。


捨てられているのは、俗に〈くず米〉と呼ばれるお米。

精米の過程で割れたり欠けたりしたお米は、市販のお米からのぞかれる。


飼料にまわされるなど使われる分もあるが、余った分は捨てられてしまう。

誰もがもったいないと思う話だ。

そんなお米をなんとかしたい、とまきこさんが思ったとき、

思い浮かんだのが、お米を粉にしてぱんをつくることだった。

その頃ちょうど、米粉のパンが話題になりはじめていた。

実際に食べてみると、とてもおいしい。

その当時、いっぱんの会社員だったまきこさんは、

仕事のほかに、パン教室にかよっていた。

なにもかもがあつらえたようにぴたりとそろっていた。

〈米粉=パン〉という思いがまきこさんのなかでむくむくと大きくなりはじめる。


パン屋さんのおつとめでも、飲食店のおつとめでもない、

いっぱんの会社員のまきこさんが米粉パンのお店を開くまでには、

たくさんの乗り越えなければならない壁があった。

けれどそんなまきこさんを支えたのは、米粉のつなぐご縁だった。

〈米粉のパン〉を売るためでなく〈そこに米粉があったから〉。

「睦実」というお店のはじまりだった。


試行錯誤を重ねて、まきこさんがはじめて完成させたのが「まんまるぱん」。

名前のとおりに、まるまる、ふかふか、小さなぱん。

まるでまきこさんそのもののようなぱん。

やわかい味。かすかな甘み。しあわせの◎。


お店に行ったら、ぜひ米粉のパンといっしょに、

農家さんからのお知らせやパンフレットにも目を留めて欲しい。

睦実が次なる睦実のうまれる場であって欲しいと、

まきこさんは願っています。





Photo&Text:しろのすずめ
東京の出版社を経て、奈良在住のフリーライター。
古いものと東大寺と喫茶をこよなく愛する。女子的目線で奈良のよきもの集めます。


米粉のパンとお菓子 睦実



639-1053
奈良県大和郡山市千日町25-1
TEL:0743-55-6551
HP:http://www.kome-623.com/top.html

営業時間:10:00頃〜17:30頃(パン・お菓子売り切れ次第終了)
定休日:月、火、第2・第4日曜日

BACKNUMBER

女子的奈良歩き vol.9 「まんじゅうとわたし」

女子的奈良歩き vol.9 まんじゅうとわたし

女子的奈良歩き vol.8 「山のふもとの小さな家」

女子的奈良歩き vol.8 山のふもとの小さな家

女子的奈良歩き vol.7 「大和茶でいっぷくを」

女子的奈良歩き vol.7 大和茶でいっぷくを」

女子的奈良歩き vol.6 「お水取り/鎮魂の祈り」

女子的奈良歩き vol.6 お水取り/鎮魂の祈り

女子的奈良歩き vol.5 「お水取り、遠くにありて思うもの。」

女子的奈良歩き vol.5 「お水取り、遠くにありて思うもの。」

女子的奈良歩き vol.4 「日曜日には、買い物かごで、野菜を買いに。」

女子的奈良歩き vol.4 「日曜日には、買い物かごで、野菜を買いに。」

女子的奈良歩き vol.3 「へびと卵とお酒とうさぎと」

女子的奈良歩き vol.3 「へびと卵とお酒とうさぎと」

奈良 de 迎える・お正月

女子的奈良歩き vol.2 「奈良 de 迎える・お正月」

01_01.jpg

女子的奈良歩き vol.1 「八本足の蝶」